(DVD製品付録冊子より 1)

“DANCE×MUSIC! 〜振付家と音楽家が生み出す世界〜 から、
DANCE×MUSIC×MEDIA! “ビデオダンス”への挑戦“



音楽とダンスのオリジナル作品を創ろうと“JCDNコンテンポラリーダンス作品創造シリーズ”として2004年にスタートしてから現在までに、シリーズvol.1からvol.3まで開催し、6作品を世に生み出してきました。

このシリーズを開始した目的は、ダンス作品を創作する際に、既製の音楽を後からあてはめるのではなく、ダンスと音楽を始めから同時に創作すること、つまり振付家と音楽家がコラボレートしながら、一から作品を創ることで、よりオリジナルな、そして、お互いの魅力を引き出しあうことで、さらに作品世界を広げることを目指しました。この挑戦を日本で行うことは、クリエイションの時間と創作経費をどう捻出するか?という高いハードルにぶつかりはするけれど、ダンス作品創作の可能性を押し広げることに繋がっていくと実感しています。

またもう一つの要素として、舞台作品の鑑賞は一回性のライブの素晴しさというプラス面もある反面、簡単に再演することはできず、波及していくことの難しさも否めません。そのことの打開策として、手軽にメディアとしてダンスを楽しめるようにと<ダンスDVDシリーズ>の発行を始めたのですが、既製の楽曲を使用していることで実現の困難さと相対することになりました。そのことをクリアーするうえで、オリジナル音楽とダンスのコラボレートで構成された<DANCE×MUSIC!>シリーズは、重要な役割を担ってくれました。記念すべきvol.1の舞台作品をDVDとして発行しております。

そして、DVDシリーズ第3弾の今回は、新たな挑戦として“ビデオダンス”のクリエイションという、心躍るダンスの未知の世界に足を踏み入れました。日本ではまだ聞き慣れないこの“ビデオダンス”ですが、映像的な演出を加えたダンスの多角的な魅力が再発見でき、さらに映像の面白さがプラスされたメディア・アートとして、世界各地では既に注目を集めています。日本でいち早くこの“ビデオダンス”の魅力を発信してきた飯名尚人さんを監督に迎え<DANCE×MUSICI!vol.3>の2つの舞台作品をビデオダンス作品としてリメイクすることに挑んでいただきました。<DANCE×MUSIC×MEDIA!>のコラボは想像以上にエキサイティングな試みとなり、確実にそれぞれの世界が壊され、そして再生される創造の時間を共有できたと言えます。結果、どのようなものが生み出されたのかは・・・お楽しみに!

今回、このような経過を経て<DANCE×MUSIC!vol.3>の“ビデオダンス作品”と“舞台作品”2つの魅力と特性の違いを同時に味わっていただきたいと思い、両方のアプローチ作品を同DVDに収録した豪華版となりました。皆様に更なるダンスの魅力を再発見していただければ幸いです。
最後になりましたが、限られた条件の中で果敢に知力・才能を駆使し作品創作に挑んでいただいた飯名監督始め撮影クルーの皆様、鈴木ユキオさん、辺見康孝さん、yummydance、トウヤマタケオ楽団の皆様、そして、この先駆的な企画に対してご協賛、助成、協力をいただいた各企業・団体の皆様に感謝を申し上げたいと思います。皆様のおかげで新しいダンスの1ページを開くことができました。ありがとうございました。これからも、また、やりましょう!!

2009年3月

水野立子/アーティスティック・ディレクター
NPO法人ジャパン・コンテンポラリーダンス・ネットワーク